Instagramの戦略に学ぶ、Simple is best.

2012/05/08 投稿 カテゴリ: タグ: アプリ, モバイル,

InstagramがFacebookに買収されることが発表されて以降、さまざまな記事を目にしました、13人で10億ドルという、一人あたりの企業価値に仰天したわけですが、CEOのケビン・シストロム氏がインタビューで語っている記事をみるにつけ、私たちのビジネスでも当てはまる、気づきがありました。

Instagramも、いきなり成功を収めたわけではなく、前身のBurbnという失敗アプリがありました。 FoursquareのHTML5版のようなアプリ、ということだそうですが、そこで提供された様々な機能の中から、シンプルに、写真を共有する楽しみを 提供するためだけのアプリとしてブラッシュアップされたのが、Instagramです。

サービスを開始し5か月後、FastCompanyへのインタビューでシストロム氏は、競争の激しいモバイルの世界では、30秒でそれが何なのか説明できるようにしなければならないと語っています。

”In the mobile context, you need to explain what you do in 30 seconds or less because people move on to the next shiny object.”

3か月で100万ダウンロードを記録するなど、順調にユーザー数を伸ばしていた時のコメントですが、機能を絞り込んで、分かりやすいメッセージとともにリリースできたことが成功要因ということなのでしょう。

実 際、Instagramは開発に当たり、対象機種をiPhone4に絞ったそうです。そこで成功しなければ、他のスマートフォンでも成功はありえない、と いう判断だったのでしょう。機種を絞り込んだことで、課題も明確になります。昨年秋のFuture of Mobileというカンファレンスで、彼は、写真を共有するアプリの開発において、3つの課題があったと語っています。「美しさ」、「スピード」 「複数プラットフォームでの共有」です。

カメラがいくら良くなったとはいえ、当時のiPhone4ですから、デジカメレベル ではありませんし、他にもカメラが優れていたスマホは幾らでもありました。また、写真においては、「美しさ」と「スピード」は相反します。解像度の高い方 が美しい写真をつくる可能性が高まるわけですが、写真の送信時間は長くなりますし、画像処理にも時間がかかります。Instagramは、ひとつのクリエ イティブジャンプでこれらを解決していきます。

iPhone4の最大解像度612×612にファイルサイズを合わせつつ、それでも 美しいとユーザーに想わせるために、あのノスタルジックなフィルター群を提供しました。ポラロイドをイメージさせる、ちょっと色焼けした、でも温かみのあ る雰囲気を加味するフィルターだけが、画像加工の機能として選ばれたわけです。正方形の形状を選んだという点も、含めて、サービスのブランドイメージの形 成に、これらは大きく寄与したと思います。

スピードという点では、このほかに、タグ付けしている間にもファイルを送信するなど、遅 さを感じさせない工夫もされています。プラットフォームの共有は今では他のアプリでも同レベルのものはあると思いますが、当時としては、簡単に複数プラッ トフォーム間を共有できるということ自体が優位性になっていました。

こうした、絞り込んだターゲット設定と、課題を削ぎ落してシン プルにすることは、我々のビジネスでも非常に重要なことです。プロジェクトが大きくなるほど、ステークホルダーが増え、その結果、解決すべきと思われる課 題が山盛りになってしまうことが、しばしばです。その結果として、本当にエンドユーザーにとって大切な課題が見えにくくなり、優先順位付けを誤ってしまう ことは、枚挙にいとまありません。Instagramの成功事例は、Simpleであることの大切さを改めて思い出させてくれました。

4月19日に、当社の株主でもある、PublicisGroupeの2012年第一四半期の業績発表がありました。
今回からビジネスセクターを変更し、Digital Servicesというカテゴリーが新たに設けられました。

従来は、Advertising(従来からある、ブランドエージェンシーによるビジネス)、Media(メディアエージェンシーによるビジネス)、SAMS(Specialized Agencies and Marketing Serevicesということで、ヘルスケア分野のエージェンシーやリサーチ会社、PR会社などによるビジネス)の3つに区分され、SAMSの中にデジタルエージェンシーの数字が含まれていたのですが、今季から完全に独立したカテゴリーにしたようです。
というのも、いまやPublicisGroupのなかで、Digital ServicesがRevenueに占める比率は、今四半期で最大になり、33%を占めるに至っています。

ここでいうRevenueは、国内の広告会社の決算発表における、売上総利益に該当します。ここにおいて、すでに3分の1がDigitalであるというのは、如何に海外ではDigitalシフトが急激に進んでいるかということの表れかと思います。2月に電通が発表した、2011年の日本の広告費においては、「インターネット広告費」が14.1%を占めるとなっています。前年より伸びてはいるものの、今回のPublicisの発表をみるにつけ、まだまだ成長はこれから、という印象を受けますね。

PublicisGroupe 2012年第一四半期の業績に関するリリース

電通 日本の広告費に関するリリース

4月18日にFacebookが、Preferred Marketing Developer program(認定マーケティングデベロッパープログラム)という、デベロッパー向けの認定プログラムを発表しました。日本からは、当社も含め、今回4社が認定されました。

プレスリリースにもあるように、「Facebook上でのアプリ開発や、マーケティングのニーズがある企業と、開発パートナーとをつなげる」ことを目的としたプログラムですので、これをきっかけに、新たなお客様との仕事が広がってくれることを期待しています。 このプログラムでは、”PAGES”, “ADS”, “APPS”, “INSIGHTS” の4つのカテゴリーで認定バッヂが提供されていますが、今回認定を受けた4社の中で、唯一、”PAGES”と”APPS”の2つのバッヂを頂きました。Facebookページ管理ツールのSociobridgeを提供し、また多くのクライアントに対して、アプリ開発を行っている実績を評価いただけたようです。

ほかにどんな会社が認定されているかは、以下のリストをご覧ください。当社の提携先であるRazorfishや、Digitasなど世界各国から231社が選ばれています。アジアでは、中国、ベトナム、シンガポールの会社も入っています。

・PMD認定リスト 

昨年3月に社内にFacebook専任チームを立ち上げた直後は、連日、Facebookの勉強会の相談ばかりで、啓蒙活動の期間がしばらく続いたのですが、日本国内でもソーシャル活用の先進事例がちらほら出てくるようになって以降は、非常に多くの仕事を頂戴できるようになりました。当初は、ページ開設の導入コンサルからページ運営といった、ページに関する相談が多く、その後、徐々にアプリの開発へと仕事が広がってきましたが、最近はFacebookを中心にしつつ、他のソーシャルメディアや自社サイトと連携したり、またPR施策とも連動した企画開発を相談されることが増えてきました。
国内でも利用者が1000万人を超え、メディアとして定着してきたことの結果だと思います。

昨年秋にリリースしたSociobridgeも、ページの運用に苦労されていたクライアントの皆様に活用していただいておりますが、いろいろご要望もいただき、徐々に機能追加をしております。投稿管理やページ作成機能に加えて、動画投稿、投稿の効果を分析する機能など順次機能強化を進めています(紹介サイトの内容がまだ更新されていないので、急いで直します!)。
ご興味のある方は、是非お問い合わせください。

インプレスさんから、Fringi81の田中社長、アタラの佐藤会長、杉原CEO、有園COOの共著による、「アトリビューション」を頂戴しました。
「広告効果の考え方を根底から覆す新手法」というインパクトのあるメッセージが表紙に書かれているのですが、現在デジタルマーケティングに関わる人たちにとっては、目を通しておくべき一冊だと思います。

ちなみに、Google insights for searchで調べてみたところ、ここ1年は、第三者配信よりアトリビューションの方が検索ボリュームが大きくなっていました。じわじわとマーケティング業界に浸透し始めている感じですね。

以下、私なりの、読後の感想です。

第三者配信などのアドテクノロジーの普及によって、クリック以外に、ビューを個々のブラウザ単位で追いかけることができるようになった。
これは、従来のクリックしか追いかけられない場合と比べて、広告の効果を検証するためのデータが、圧倒的に増えることを意味する。
これらのデータを元に、バナー、リスティング、あるいは無料のソーシャルからの流入も含めて、ネット広告活動全般のマネジメントをしようというのが、本書の提言である。

本書の中では、アトリビューションは、「コンバージョンに至るまでの流入元の履歴のデータを使い、コンバージョンへの貢献度を各流入元に配分すること」としている。これによって、デジタルマーケティングで活用される広告の効果を全体最適で見直すことができる。
米国では第三者配信がすでに10年の歴史があり、普及している環境下でアトリビューションが語られているのに対して、日本では第三者配信がようやく普及の兆しが見えた段階なので、少し取っ付きにくい面もあるかもしれないが、逆に一気にグローバルスタンダードに近づくチャンスでもある。

著者達の経験による、具体的な数値も示されているので、読み手は、アトリビューションマネジメントすることで、どう具体的に効果が変わるのかをイメージしや すいだろう。当たり前だが、本書は、方法論の紹介をしているだけであって、実際のビジネスでは担当者それぞれが答えを探す努力をしなくてはならないことは、変わらない。アトリビューションモデルに、万人共通の「正解」は存在しない。
しかし、新たにネット広告の効果改善を考えようという人にとっては、多くのヒントが、盛り込まれている。読者が自ら考えるためのベーシックな考え方あるいは事例を紹介しているので、これらは大いに参考にすべきだろう。そして、どう読み解くかは、読者次第だ。

プランニングと同時に、実施、オペレーションの体制のことも触れられているが、それらも含めて、マネジメントが実現できる。必要に応じて、適切なパートナーを選ぶことも大切。
当社も、そのお手伝いをしたいと考えている。

先日のfMC Tokyoで、Meg SloanさんがFacebookでの対話において大切なこととして、Frequency Light Interaction(F.L.I.)と語っていたのを聞いて、これはリアルの人間関係でも同じだなぁと痛感しました。
頻度多く、ちょっとしたやりとりをつづけていくことが、関係を強めたり維持をしていったりするのに大切だということ。
そんな中、昔書き起こした、広告に関する文章ですが、改めてご紹介します。

広告のメタファーとして、しばしば恋愛が引き合いに出される
でも、恋愛にはゴールがある。恋人になるとか結婚するとか。
商品・サービスを買ってもらうに近いイメージだが、これはわりと短い期間でのお話。

でも現在は、企業と生活者がもっと長期的に良い関係を築くことが大切だと感じられている時代。
恋愛のメタファーにはちょっと違和感。
やっぱりその先まで考えないと。
そう思うと、夫婦関係や、家族関係ということをメタファーにしたほうがいいように感じる。

結婚を例えとするなら、それは、はじめてその企業の商品・サービスを購入したこと。
でも使ってみると、いろいろ買う前にわからなかったいい点・悪い点が見えてくる。
企業側として、生活者から好きで居続けてもらうためには、いろいろと工夫しないといけない。
誕生日や記念日を祝ったり、旅行に出かけて、いつもとは違った環境で関係を見つめなおしたり、時にはサプライズをしかけたり、時には、クレームにじっくり耳を傾けたりと、小さなことから大きなことまで相手のことを考えながら、行動をしていかないといけない。

倦怠期があったり、離婚の危機があったりしながらも、子供が生まれることで、夫婦のきずなが深まったりする。
この場合、子供は、企業と生活者による、共同開発のアウトプットみたいなもの。
生み出された後も、手をかけて、いいものにしていこう、と一緒に努力する。その結果、子供が成長していくことが、双方にとって喜びになり、絆が深まる。

恋愛のメタファーで、メッセージが伝えるにはどうしたらよいか、という従来の広告モデルのたとえ話は、今やあまりに薄っぺらい気がしてきた。

先日、Facebookのマーケター向けのイベント、fMC Tokyoに参加してきました。内容の詳細は、他のサイトで詳細に紹介されているので、ここでは、このイベントで私が感じたことを、少しご紹介したいと思います。

FacebookにもMarketing Solutionのページがローンチ

改めて強く認識したのは、ブランドは、今まで以上に、生活者の手の中にあるということです。
広告担当エンジニアリングディレクターのMark Rabkinさんが引用されていましたが、IntuiteのFounder、Scott Cookの名言です。
"a brand is not what we tell the consumer it is; a brand is what consumers tell each other it is."

普段、クライアントと密接に広告の仕事をしていると、ブランドと生活者の間のコミュニケーションという観点から、クライアントであるブランド側を中心に、そこからどう情報を伝えればよいのかということで発想しがちですが、ソーシャルがこれだけ広がると、ブランドと生活者の間で行われるコミュニケーションは、生活者同士がそのブランドについて語っていることと、同等に扱われていると考えるべきでしょう。
これは、特にネガティブな情報が流通する際に言えることですが、ソーシャル上でのプレゼンスが乏しいブランドにおいては、生活者同士の対話の方が大きな影響力をもってしまう、というぐらいの認識をすべきかもしれません。

Facebookの方々のプレゼンテーションを聞いていて、強く感じたのは、「メディア」という役割あるいは機能を有しているというよりも、「ネットワーク」の場であることがその根底にあるということでした。マーケター向けのイベントですから、メディアとしての側面、利用価値が説明されたわけですが、他のメディアのイベントと異なり、Facebookの背景にある哲学あるいは思想的なものを垣間見れたのは、貴重な体験でした。
アジアパシフィック地区のマーケティングを担当するMeg Sloneさんが、最後のセッションで語っていましたが、Facebookのコアは、Relationshipであるということです。だからそこでは、リアルな人間関係で起きていることと同じことが起こっている。マーケターは、「人はなぜ互いに話をするのか」ということを時々思い出す必要がある、ということで、次の4つを挙げていました。
To make life easier
To establish common ties
To help each other
To craft our identity

話をすることには、生活をよりよいものにしたり、自分というものを見つめなおすという欲求が背後にあるということかと思いますが、こうした対話を通して人と人との関係が深まったり、薄くなったり、良くなったり、悪くなったりと発展をしていきます。Facebookは、実名制ですから、それはリアルな人間関係でもあるわけです。対話の先にある「関係」のために、コミュニケーションが存在していると言うべきなのでしょう。

こうして考えると、Facebookのような実名型のソーシャルメディアは、リアルの人間関係の縮図でもあるわけで、ブランドは、これからますます、ソーシャル上でのプレゼンスに最大限の注意関心を払っていかなくてはならない時代になってきたと思います。

先週アトランタで開かれた、Razorfishの幹部会議Seat at the tableに参加してきました。昨年は、震災の直後の開催で参加できず、約一年半ぶりに幹部の面々と顔をあわせました。今回目の当たりにしたのは、この1-2年の間にRazorfishが大きな進化を遂げていることでした。

会議では、CEOのBob Lordからビジネスの概況や事業戦略について語られ、またCTOからビッグデータやマーケティングダッシュボードなど自社の技術面の取り組みの紹介など部門のトップからの話があったのですが、何より興味深かったのは、各オフィスから発表されるケーススタディでした。
その中でも、昨年Razorfish Internationalのチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任した、Daniel Bonnerによるケーススタディが秀逸でした。
彼は、元AKQAのチーフクリエイティブディレクターで、2010年には、英国のCampaigne Magazineでno.1 Digital Creative Director にランクされたトップクリエーターです。

NikeのWe run Parisでは、RFIDとFacebookを結びつけて、コース上に設置されたゲートを走り抜けると、走っている時の写真がウォール投稿されたり、ゴール直前では、楽勝なのか、もうダメ〜なのか、くぐったゲートによって、顔文字が投稿されます。Nikeのランニングイベントは世界各地で開かれていますが、こうしたソーシャルとインテグレートされたものは初めてで、イベントとして非常に波及力のあるものになりました。

ドイツのマクドナルド設立40周年のキャンペーンでは、Main BurgerというFacebookアプリを提供し、ユーザーに新しいメニューを作ってもらいました。そしてそれらのメニューに対してユーザーの人気投票を行い、クラウドソーシングによって、40周年記念の新しいハンバーガーを作ってしまうというものです。7日間で45000ものメニューが投稿されるなど、ネット上で大きな反響を呼び、過去のどのキャンペーンよりも大きな成果をあげたそうです。

これ以外にも、現在進行中の、ユニリーバのAXE ANARCHYキャンペーンでは、ユーザーからの意見をもとに、リアルタイムで書き起こされる、オンラインのコミックスで、意見を出してくれたユーザーがコミックスの登場人物として描かれます。コミックスは、2日おきにリリースされていきます。

こうしたソーシャルを核としたキャンペーンで大きな成果を上げているのですが、いずれのケースでも、ユーザーの参加意欲を掻き立てる、動機づけの部分にコアとなるアイディアがあり、その切れ味の良さが成功の秘訣なのではないでしょうか。そして参加したユーザーから拡散させる仕組みを丹念に組み合わせていくことも欠かすことはできません。例えば、Mein Burgerでは、自分が作ったBurgerを宣伝するためのバナーやポスターなどの素材をジェネレートする機能を組み込み、また優勝者はテレビスポットにも登場しました。こうした、実施上のきめ細やかさも、成功の秘訣だと思います。
日本でもこうしたケースに負けないプロジェクトを提案していきたいですね。

先日、タイのグループ会社の方々とミーティングする機会がありました。
タイの広告業界は、全体としては、まだテレビ全盛の時代で、日本の10年前みたいな感じ。デジタルマーケティングもこれから、ということらしいのですが、今後デジタル領域にどう取り組んでいけばいいのか、日本のケースを知りたいということで、いろいろお話をしました。

話をしていて、デジタルに限って言えば、10年も差があるとは思えませんでした。というのも、ソーシャルやスマートフォンの領域では、日本以上に環境が整ってきているからです。例えば、Facebookの普及率は、人口比で約2割。インターネット人口に対しては、7割を超えていて、すでに大きな影響力のあるメディアになっています。

東南アジア全般を見ても、Facebookは、日本よりはるかに浸透し、巨大なメディアになりつつあります。また、スマートフォンの普及率も、昨年Google、Ipsos、MMA(Mobile Marketing Association)が発表した調査(http://www.ourmobileplanet.com/)によれば、日本よりもタイ、台湾、韓国などの国の方が高い結果になっています。


facebookの普及率(http://checkfacebook.com/)より

少子高齢化で、成熟したメディア社会である日本においては、一旦定着したメディアの構造が変化する度合いが、アジアの成長国と比べて低くなってしまうのかもしれません。このことは、デジタルマーケティングの領域においても、ガラパゴス化を招くのではないか、と危機感も覚えます。アドテクノロジーの領域に関して言えば、昨今ようやく認知が広がってきた「第三者配信」も、欧米では10年以上の歴史があり、広く普及してきましたが、残念ながら日本ではまだまだです。こうしたアドテクノロジーも、なかなか変化しない日本を素通りして、他のアジア諸国に目が向き始めているようにも感じます。

改めて日本のポジションを再確認し、アジアの中でどういう動きをしていけばいいのか、考えるべき時に来ているのだと思います。

今年のad:tech2011は、皆さん、いかがだったでしょうか?

当社にとっては新サービスsociobridgeの発表や、Razorfish会長のクラーク・コキッチのキーノートなど、例年になく、深いかかわり方をしていましたので、大勢のマーケティング関係者の方々が来場されたことは、非常にうれしく思っています。

私自身と言えば、ad:techには、これまで運営の裏方(初回開催時、電通におけるad:tech対応の事務方代表をやっておりました)、パネリストとして参加してきて、今回は、セッションのモデレーターも務めさせていただきました。
関係者の方々やスピーカーとして参加されている方々の話を聞いた印象も含めて感じたのは、過去のad:techと比べて、今年は、参加者の傾向が少し変わってきたようです。
Webやデジタルマーケティングに深くかかわっている方々だけではなく、広告主の宣伝やマーケティング部門、広告代理店の営業部門などへと、裾野が広がってきたようです。
これは、デジタルが、マーケティングのあらゆる領域に浸透しつつあることの裏返しかもしれません。

プログラム全体の印象としては、新しい概念や考え方を共有するような場面に遭遇することが、今一つありませんでした。
手前味噌ではありますが、RazorfishのClark Kokichのキーノートが、唯一これからのマーケティングに対する示唆と問題提起をおこなっていたぐらいで、全体的には、過去の課題の追認や教育的なアプローチによる情報の共有という面が強かったように思います。

もともと、ad:techは、海外では、教育的な面が強く、若手や経験の浅いデジタルマーケターが多く参加しているイベントです。
日本では、国際的なイベントがそれまでなかったことから、海外からの知見を国内に持ちこむ、あるいは、日本から海外へ発信しようという、日本独自の意向がこれまで強くあり、国内の経験豊富なマーケターにとっても、新しさを感じさせるものでした。
第1回目のジョシュ・バーノフやTokyo Innovationは、その企画意図のもとに成立していたのですが、ここにきて、展示会の拡大や、専門プログラムの幅がひろがったこととあいまって、そうした当初の特徴が薄まってしまったかもしれません。

私が担当した、クラウドのセッションは、今回のad:techの中で、もっともテクノロジー寄りでしたので、恐らく多くのマーケターの方には、気になるものの、少々とっつきにくい内容だと思っていました。案の定、会場は満席にはなりませんでしたが、逆に非常に熱心に聞かれている方が多いようにも思いました。
セッションの冒頭で、クラウドを活用されている方に挙手願いましたが、手が上がったのは1割ぐらいだったでしょうか。
そうした客層をふまえて、教育的な側面と、クラウドを活用することを後押しするようなプログラムに設計したのですが、こちらの意図が上手く伝わっていれば、嬉しい限りです。
特に、リクルートの川本さんのSUUMOの事例は、国内における先進的なものでしたので、会場の方々を多少なりとも刺激できたのではないかと思います(セッション終了後も、川本さんと名刺交換される方が多くいらっしゃいました)。

このイベントに関する、Tweetを開催中に眺めておりましたが、昨年と比べると、会場からの実況型は鳴りを潜め、参加者による感想Tweetが多かったように思います。
感想の中でも、キーノートやセッションのコンテンツではなく、ad:techという「お祭り」の場に参加していることに対する、喜びや感動を表明するものが多かった。
これは、こうしたリアルなイベントの在り方を考えるいい機会かもしれません。
過去2回と比べると、デジタルマーケティングに関する情報は、ネット上であまりに容易に共有することができるようになっています。
SlideShareやUstreamなど、カンファレンスに参加しなくても、リアルタイムにあるいは事後的にその内容に触れる機会が大変多くなっています。

また、国内だけでなく、海外のそうした情報も数多く流通しています。それゆえ、先にも書いたように、コンテンツ面での新しさを提供することは、非常に難しくなってきているのでしょう。 来場者もコンテンツよりも、この場に業界の方々が一堂に会して集うことの方に、より魅力を感じているのかと思います。 来年度のad:techが、どのような方向に向かうのか、まだ分かりませんが、情報のシェアの仕方が急速に変わっていく1年後、新機軸が打ち出されてくることを期待したいと思います。

なお、Clark Kokichのキーノートは、以下のMarkezineのレポートによくまとまっています。

『これからのマーケターや代理店の仕事は“認識”ではなく“現実”を変えること』  ad:tech tokyo 2日目基調講演レポート

今朝の日経に記事が出ておりますが、電通とともに、日本マイクロソフトと、ソーシャルメディアマーケティングの領域で業務提携をすることに基本合意しました。
あわせて、Facebookページの運用統合管理ツール、「sociobridge(ソシオブリッジ)」の販売をはじめます。

マイクロソフトとは、実は、クライアントでもあり、パートナーでもある関係です。過去をさかのぼれば、Razorfishの親会社であった時代もあり、親戚みたいな関係でもありました。そうした中で、当社は、マイクロソフトの新しい技術やサービスに触れる機会が多く、これらをうまく活用して何かできないものか、と考えておりました。
米国でも、Razorfishは、マイクロソフトのテクノロジーを取り込んで、新しいデジタルサイネージのプラットフォームの構築などやっています。

ご存知のように、電通が今春、Facebookと提携し、それと連動して、当社もFacebookに関わる仕事を数多くさせてもらっていますし、またマイクロソフトもFacebookに出資しています。そんな中で、Facebookをテーマにいろいろ議論を重ねて言った結果、本日の発表に至りました。
sociobridgeという、具体的なツールが最初の成果ですが、これがどこまで市場で評価を得られるかは、今後のサービス&機能拡張しだいというところもありますので、できるだけ多くの方にさわっていただいて、いろいろご意見を伺いたいと思っています。(ちなみに、sociobridgeは、マイクロソフトのクラウド基盤Azure上に構築されています。)

実際には、Facebookページの活用も、多くの企業で、まだはじまったばかりですし、ツールを利用しつつ、組織だった運用体制を持たれている会社もそれほど多くないと思っています。しかし今後、Facebookの利用者が増え、企業のマーケティング活動の中での重要性が高まってくるでしょうし、そうした中で、今回私たちが提供しているような機能へのニーズが高まってくるだろうと、考えています。
既に米国からいくつかのツールが日本でも紹介・販売されていますが、まだ日本のマーケターが使うには、ハードルが高いだろうと思っています。英語圏で数億人を対象としているページの運用を支援するために作られたツールでは、まだユーザー数500万人強という段階の日本のFacebookを運用している人たちにとっては、コスト的にも機能的にも、too muchなのだろうと思います。いずれ日本でFacebookユーザーが大きく増えたり、海外も含めて日本でコントロールするという時代になってくれば、また変わってくるとは思いますが、現在は、もっと手ごろな価格で、必要な機能に絞ったものの方が、受け入れられやすいと思います。

そして企業のソーシャルマーケティングの土台となるべき、Facebookページの基盤ができることで、その先にある、キャンペーンやプロモーションも盛んになってくると思います。ちょうどバナー広告のマーケットが、企業の「ホームページ」立ち上げブームとともに成長してきたように。
今回のローンチ以降も、すでにいくつも機能追加の計画が予定されています。Facebookの進化と、日本の市場の変化に対応しながら、引き続き、より良いサービスを提供していきたいと思います。

ソシオブリッジのページはこちら http://www.sociobridge.jp/

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