鳩山首相辞任について

2010年6月3日

 昨日、鳩山首相が辞任表明をしました。明日民主党は代表選挙を行って、新内閣が発足するそうです。鳩山政権については、国民の大きな期待を裏切り、無責任だという論調が多いようです。私もその意見に反対はしません。しかしここでは少し違った視点で、9年前に何の経営管理職的な経験もないまま、会社を立ち上げ、社長を務めた経験を踏まえ、私見を述べさせてもらおうと思います。

 昨年の民主党の衆院選勝利は、実質的に戦後初めての本格的な政権交代となりました。この政権交代は、小泉政権以後3年間にわたる自民党政権のたらい回しによる、国政の漂流に、我々国民が明確にNOと意思表明したことによると思います。その分、私も、鳩山新政権に対する期待は、大きく膨らみました。しかし、現実的には、無統治状態の問題だらけの環境下で、はじめて国政を担う政権が、全ての面で上手に政権運用ができるわけがなく、いくつかの間違いや、やり直しが起きるだろうとも思っていました。我々国民に必要なことは、少し長い目でじっくりと見守ることも重要だろうと思っていました。

 そういった視点で、発足からこれまでの鳩山政権を見てみると、いくつかの功績(?)があるように感じます。まず、普天間基地問題に端を発した、安全保障に対する我々国民の感度の向上。今後の地球自然環境の悪化に伴い、エネルギー問題、食糧や水の問題等、安全保障の重要性は、急速に高まります。昨今の朝鮮半島の緊張、中東、アフリカ等、世界各地で混迷を極める紛争問題は、残念ながらその端緒に過ぎません。安全保障に対する理解を深め、自分なりの意見を明確にすることは、我々の今後の生存にとって大変重要な課題になっていきます。鳩山首相は、沖縄の基地問題の歴史的な課題について、日米同盟の意義について、そして安全保障問題の重要性について、大変不器用な形で、我々に問題提起してくれました。

 同様に、気候変動に関する国際交渉においても、大変無垢なスタイルで、世界的に突出した目標を掲げることによって、その日本経済に及ぼす巨大なインパクトについて、われわれ日本人が今後引き受けるだろう大きな負担について、否応なく認識させてくれました。気候変動は、人類にとって待ったなしの最重要課題であり、その面では日本の掲げた25%削減目標ですら、充分とは言えません。その面では、鳩山首相の博愛の理念には深く共感しますが、この問題は地球規模の課題である以上、一部の国だけが勝手に取り組んで解決できる課題でもありません。従って、ゴール設定は高く置きつつも、交渉はしたたかに、最良の解決策を導き出すことが、あるべき戦略だと思います。そんなことを強く感じる8カ月間でした。

 また、事業仕分けと財政赤字。この国が財政的に大変な危機状況に陥っていること。それにもかかわらず、我々国民は、「消費税の増加は反対」、「子供手当は賛成」、「高速道路定額も賛成」と、全く全体認識に欠け、我々の子どもたちに大変な負担を強いる方向に全力で進んでいます。しかしながら、こうした状況は我々の本当の真意ではないと思います。サラリーマンであれば誰だって、自分の会社が何年も赤字を垂れ流していたら、不安になって、何とかしようと思うでしょう。日本人は、本来的にはそうした真面目なところがある国民だと思います。そんなことを考える、機会を鳩山政権は作ってくれました。

 明日発足するだろう新政権が、日本を少しでも持続可能な方向に引っ張っていくことを祈っています。そして、もうしばらくは辛抱強く応援することも重要ではないかと思います。

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2010年6月3日 23:07 |パーマリンク