デジタル進化論

2008年6月30日

 昨日のデジタルトップブランドのニュースリリースに関する続編です。カナダのカールトン大学の調査によると、人は、ウェブサイトに訪問してから、たったの0.05秒で、そのブランドの信頼性、ユーザビリティ、ビジュアルイメージ、そして購買意向を決定してしまうそうです。つまり、デジタルは、歴史上、最も容赦ないスピードで進化を遂げるメディアであり、ユーザー中心のWeb2.0の時代では、適応力の生き残り競争が要求されます。

 それゆえ、デジタルチャネルを今後の成功の核に置こうと考えるブランドにとっては、デジタルブランド力の効率性を測定する仕組みが必要になります。アベニューAレイザーフィッシュのBrand Gene Scorecardはそのための一つの指標になることでしょう。

 今後の広告会社の役割は、ユーザーが、クライアントのブランドを、デジタル空間で、より快適に、簡単に、そして意味深く、体感してもらうような、「仕組み」を作り上げることです。つまり、広告産業は、従来の伝統的な広告人の考え方を止め、その代りに、デザイナーやエンジニア、または建築家のように考え始めなければならない。つまりロジックとマジックの絶妙な融合が求められるようになります。

デジタル進化論(Digital Darwinism)については、5月のクライアントサミットのJoe Crumpのプレゼンテーション(Survival of the Fittest: Digital DNA )でも取り上げられました。またプレゼンテーションシートは、slideshare.netで見られます。ところで、このサイト、個人的に結構好きです。併せて、参照ください。(http://www.slideshare.net/davidjdeal/digital-darwinism

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2008年6月30日 21:55 |パーマリンク

デジタル時代のトップブランドとは?

2008年6月29日

 先日のカンヌ国際アドフェスティバルで、アベニューAレイザーフィッシュが独自のブランド評価表(Brand Gene Scorecard)を基に調査を行い、トップ10デジタルブランドを公表しました。
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 評価基準は、immersion(消費者がデジタル生活の中で如何に簡単にブランドに関与できるか?)、social(消費者がそのブランドを皆にシェアする価値があると考えるか?)、adaptive(消費者のデジタル環境に如何に上手に対応しているか?)等、7カテゴリーで、調査対象者はアベニューAレイザーフィッシュの社員800名です。調査内容や対象者にバイアスはあるものの、結果は興味深いものでした。

トップ10デジタルブランドは、以下の通りです。
1. Google
2. Apple
3. YouTube
4. Flickr
5. Netflix
6. Nike
7. eBay
8. IKEA
9. Coca-Cola
10. Mercedes

ちなみにインターブランド社が発表している世界のトップ10ブランドは以下の通りです。
1. Coca-Cola
2. Microsoft
3. IBM
4. GE
5. Nokia
6. Toyota
7. Intel
8. McDonald's
9. Disney
10. Mercedes

 両方のランキングで、トップ10入りしたブランドは、コカ・コーラとメルセデスのみでした。この調査結果の精度は如何かとか、日米ではブランドに対する認識に違いがあるとか、色々な見方が有り得ると思います。しかしながら、消費者の行動が益々デジタル化していく中で、どちらのブランド力が今後意味を持っていくかを考え、行動していくことは、重要だと感じました。

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2008年6月29日 23:28 |パーマリンク

第7回定例株主総会を終了

2008年6月20日

 昨日19日に、7回目となる定例株主総会が無事終了しました。参加株主の全会一致で、改めて取締役に選任され、その後の取締役会で、正式に代表取締役に就任しました。今年は電通の大規模は組織改変に関連し、新たに2名の電通幹部が、社外取締役に就任されました。

 今年は、確実に日本の広告界にとって、大きな曲がり角の一年になります。電通がデジタル化を如何に進めていくか。その中で、そして大変革を迎える広告界で、当社がどういった役割を演じていくか。当社にとり、大変重要な課題です。そういった意味で、今回大変強力な役員体制になったと感じています。

 私は創業来ずっと再任されていますから、傍目では何の変わりもないように感じると思います。しかし実際には、何度やっても、毎回大変気の引き締まるイベントです。再任されると、階段を一つだけ、無事に上がらせて頂いたように感じます。不思議です。同時に、これから一年をかけて、確実に当社を次のステップに上がらせねば、という気持ちになります。そのためには、数歩先の階段の状況をしっかりと確認することが、経営を誤った方向に行かせないために、重要となります。今週末は、少しだけホッとした気分で、そんなことをじっくり考えてみようと思います。

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2008年6月20日 23:21 |パーマリンク

クライアントサミット情報がアップ

2008年6月15日

 5月にニューヨークで開催されたクライアントサミットの情報がアベニューAレイザーフィッシュのサイトにアップされました。(http://www.avenuea-razorfish.com/clientsummit08/) 私は昨年と今年の2回しか参加していませんが、昨年と比較しても、内容的に大幅にボリュームアップした内容でした。また私が知る限り、デジタルマーケティング領域で最高のカンファレンスでした。ぜひ時間の許す時に、参照ください。

 お勧めはいくつかありますが、まずは、ソーシャルメディアの急激な台頭に如何に企業が対応すべきかについてフォレスターの主席アナリストが語ったセッション、Groundswell: Winning in a World Transformed by Social Technologiesが、挙げられます。従来のTVを活用したブランド広告、インターネット広告、そして台頭するソーシャルメディアの活用について、事例を交え興味深く紹介を行ったのは、Case Study: Coors Brewing Company。

 米国テレビ業界がデジタル化する社会でどういった戦略を取っているのか、NBCユニバーサルならびにCNNのトップ自らが、其々登壇した2つのセッションは、日本のテレビ業界が今後どうなっていくべきかの示唆に富んだセッションでした。
A Conversation with Jeff Zucker
A Conversation with Jon Klein

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2008年6月15日 23:07 |パーマリンク

神戸出張

2008年6月11日

 今日は(というか正確には昨日になりますが)、早朝に米国と電話会議の後、大阪・神戸に行き、先程東京に戻りました。めまぐるしい一日でした。電通の営業時代は、ほぼ週に一回程度、神戸出張をしている時期がありました。日帰りになる場合もあり、かなりの疲労を感じた記憶がありますが、当時と比べて、新幹線の移動時間が格段に短く、そして快適になったせいか、身体的には楽に感じました。

 今回は、神戸のクライアントを訪問させて頂きました。以前と比べると、最近は残念なことに、クライアントに直接訪問させて頂く機会が、減ってしまいました。しかし、アベニューAレイザーフィッシュのソリューションに何らかの関心を持たれているクライアントには、できる限り直接お会いするようにしています。アベニューAレイザーフィッシュとの資本業務提携も一年半が経ち、当社もようやく準備期間を終えつつあります。徐々に、欧米の最先端のインタラクティブサービスを、日本でも本格提供できるようになります。また、日本市場だけではなく、グローバルベースでの高品質なインタラクティブサービスの提供も、アベニューAレイザーフィッシュネットワークを通じ、ご提供することができます。こうしたソリューションにご興味のある方は、ぜひご相談頂ければと思います。

 会議の後、神戸で社員と軽く食事をしました。その際、「社長の夢って何ですか?」と聞かれました。20年前に社会人になった頃の私の夢は、広告を活用して世界平和を実現することでした。広告には、世界中の人々のコミュニケーションを促進し、垣根を取り除き、東西冷戦をなくす力があるはずだと、信じていました。非常に楽天的というか、現実から乖離しているというか。しかし、私の考え方の基本は、それ程変化していないように感じます。ここ数年の私の夢は、日本のマーケティングを変革すること、世界最高レベルに引き上げることです。そのために、当社自身を変革させてきました。私のこの夢は、今年、ある程度叶うと思っています。今は、確実に具現化することと、次の夢に繋げることに注力しています。

 その後、関西支社の拡大策について話が進みました。久しぶりに、ふと「天地人」の言葉が浮かびました。天の声、地の利、人の和。当社は、創業来、電通グループということもあり、地の利には恵まれてきました。天の声、つまり事業展開的には、ドットコムバブル崩壊の中で創業し、サバイバルし、その後順調に拡大してきました。経済が曲がり角を迎えるこれからの数年が、大きな正念場だと思います。そうした中で、夢を具現化していくためには、人の和が不可欠です。優秀で志の高い人材が、共通の大きな目標に向って、まい進できる組織です。関西支社も丸3年が経ち、小さいながらも着実に成長してきました。今後の一層の飛躍には、「天地人」を見極め、成長していくことが重要だと思っています。

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2008年6月11日 01:35 |パーマリンク

Windows Live Platform

2008年6月9日

 今日はマイクロソフト社のWindows Live プラットフォームのテクニカルトレーニングに参加しました。開発者向けのプログラムのため、私にはレベル的にかなりタフな内容でしたが、直感的に、初めて会計のクラスを受講した時に感じたように、今後のビジネス上、必須の領域だと感じました。

 Windows Live プラットフォームを活用すると、かなり本格的な、というか、最先端のコミュニティや情報ポータル、そして企業イントラが構築できます。構築費も期間も、安価で短納期が可能です。特に企業経営上の大きなメリットは、運用費やライセンス費が基本的にかからないことです。当面は、情報セキュリティ面、Windows Live ユーザーとノンユーザーとのエクスペリエンスの差異など、課題もあります。また、こうしたサービスを的確に活用するためには、ユーザーサイドも一定レベル以上のITリテラシーが必要です。しかし、こうした課題を考慮しても、うまく活用すれば、ビジネスサイドも、ユーザーサイドも、大きなメリットを享受することになるでしょう。デジタルデバイドが一層加速することが予想されます。

 それでは、一体どうしてこうしたハイレベルのサービスを、マイクロソフトやグーグルといった企業は、提供するのでしょうか? 言うまでもなく、広告ビジネスを一層強化するためです。今後の広告ビジネスにテクノロジーの活用が不可欠と言われる所以です。言い換えれば、今後は消費者行動を正確に捕捉すればする程、広告利益を享受することができると言われる所以です。

 話が少し逸れますが、グーグルでは、営業会議というものはなく、その代りに品質会議というものがあると聞きました。消費者行動の捕捉品質を高めれば高める程、広告効果が上がるので、それに伴って売上げも利益もついてくるという考え方です。従って、業績を伸ばすためには、営業会議ではなくて、品質会議なのだと。

 広告ビジネスの視点から、こうしたWeb2.0的なサービスの普及を再考してみると、メディアという概念が大きく変わりつつあることに気付きます。従来の広告人にとって、メディアとは、テレビであり、新聞であり、インターネット領域ではヤフーといったポータルサイトを意味していました。いかにたくさんの人が集まる場所であるかが、メディア(媒体)という概念でした。つまり、メディアとはマスメディアを意味していました。

 しかし、ネットワーク社会では、消費者一人ひとりの嗜好に合わせて、情報が処理されるので、従来のハブのようなマスメディアは存在し得ません。従って、広告ビジネス上の肝は、場所取りからデータ捕捉力に移ります。これが、従来の広告人には一番理解し難い部分ではないかと思います。そんなことを考えさせてくれるプログラムでした。

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2008年6月9日 21:25 |パーマリンク

ボーリング大会と新ニッポン人

2008年6月4日

 昨日は当社のボーリング大会がありました。創業当初から有志が声をかけて、開催してきました。当初は、デジタルの会社がどうしてこんなアナログなことをみんなでやってるのか、不思議に思いながら、ボールを投げていました。しかし、なぜか毎回参加率が結構高いということで、続いています。今回は、入社2年目の社員有志が幹事を買って出てくれての開催でした。いつもボーリングを2ゲーム、その後表彰式を兼ねて月島でもんじゃを食べます。昨晩は貸し切りのフロアーが一杯でしたから、5‐60名くらいは集まったのではないでしょうか。盛況でした。

 実は、今回の宴会で、ぜひみんなと話し合いたいなと、楽しみにしていたことがありました。日曜日の夜にテレビ東京で放映された、久米宏の経済スペシャル「新ニッポン人=お金を使わない20代の若者」についてです。最近の若者は、車に興味がない、お酒を飲まない、携帯電話等通信費の比率が高いなどなど、、、。生活者の消費動向は、仕事柄、絶えず気を配っていますし、かなり認識しているつもりでもいます。それでもこの番組、私には結構衝撃的でした。「セリカ」も「スカイライン」も知らない。「とりあえずビール」は、おじさんと一緒の時だけ。あと、将来に対する不安が強く、老後に備える意識が非常に高いこと。

 考えてみれば、トヨタのセリカの最終モデルはあまり見なかったし、終売になって既に数年が経っていますから、20代が知らなくて当たり前でしょう。自分の認識が、非常にバランスを欠いていて、主体的に過ぎることに、はっとしました。また、宴会の長が「じゃあ、とりあえずビールで乾杯しようか」と言えば、確かに私も体調が悪くてアルコールを控えたいなと思っている時も、乾杯は付き合っています。大体そのまま調子良くなって、飲み続けてしまう場合が多いですが、、、。そう考えると、「とりあえずビール」は、相手によっては、ある種のパワハラかもしれません。もうひとつ、将来に対する不安。経営的な危機感は、好況の時も、不況の時も、経営者として、常に失わないように努めています。しかしながら、正直に言うと、バブル時代に社会人経験を始めてしまった私は、この将来に対する漫然とした不安とか、老後に対する備えとかには、どうしても個人的には馴染めません。心の底では、いつも楽観的です。ただし、「失われた10年、15年」と言われた時代を過ぎてなお、現状の日本を冷静に見れば、楽観している方が、かなりおかしいと言えます。アメリカに留学していた際に、非常に優秀で、引く手あまたの学生が、ものすごい危機感でキャリア開発に取り組んでいるのを見て、何でそこまで真剣にやるのか聞いたことがあります。彼女の答えは、「fearが、そうさせる」でした。これからの時代、危機意識、間違っていないんだと思います。

 こうしたことが、当社の社員にも当てはまるのか、聞いてみたいなと思っていました。隣に座った新入社員が、「社長、日曜日の久米宏の番組見ました?」と、偶然にも聞いてくれました。彼女にとっても、自分の世代の考えを、整理して代弁してくれたようで、すごく良かったそうです。彼らの世代にとって、この番組での報道は、違和感無いようでした。ちなみに今日、20代に会った時、片っ端から「セリカって知ってる?」って聞いてみましたが、確かに誰も知りませんでした。驚いていた私が、馬鹿みたいです。きっと、プレリュードも、ソアラも、知らないんだろうなあ。BMWは、何人知っているんだろうか。

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2008年6月4日 23:43 |パーマリンク

広告会社のデジタル化について

2008年6月1日

 先日、世界のエージェンシーの中で最も上手にデジタル化を遂げている会社はどこですか?との質問を受け、正直答えに窮してしまいました。当然のことながら、アベニューAレイザーフィッシュは、デジタルメディアに特化した新しいエージェンシーモデルを世界規模で構築しつつあります。また、デジタス、RGA、AKQAといったその他のインタラクティブエージェンシーと言われる企業も、それぞれ特徴を出しながら成長を遂げています。しかしながら、こうした企業は、元々デジタルを軸において成長してきた企業であり、マスメディアを中心に扱ってきた伝統的な広告会社がデジタル化した訳ではありません。

 おそらく、伝統的なブランドエージェンシーの中で、デジタルメディアを最もうまく取り入れて、成功モデルを生み出しているのは、米国のクリスピン・ポーター&ボガスキー(CP&B)社でしょう。本ブログで以前紹介したバーガーキングのワッパー50周年キャンペーンは、彼らの制作です。その他には同じくバーガーキングのチキンキャンペーン(Subservient Chicken)がデジタル業界では有名です。彼らを最も有名にしたのは禁煙キャンペーン(truth)でしょう。その他には、MINI、フォルクスワーゲン、NIKE等のキャンペーンも手掛けています。最近ではマイクロソフトのアカウントを獲得しました。デジタル部門人員を大幅に拡大しているとも聞きました。しかし、彼らは伝統的なブランドエージェンシーといっても、クリエーティブとバイラルマーケティングに非常に強みを持つ、どちらかというとプラニングブティックに近い存在です。オフィスも米国と英国のみで、従業員数も1,000人に満たないと思われます。そういった意味では、ヤング&ルビカムやレオ・バーネット、日本でいえば電通や博報堂といったエージェンシーとは若干規模も内容も違うようです。結論としては、勃興するデジタルメディアに十分に対応し、事業モデルの変革を遂げた総合広告会社は、世界を見渡しても、まだ存在していないように感じます。

 CP&Bについて検索している中で、面白いものを見つけました。当社のインターンシップを受け入れる際に、当社の企業ブランドや企業理念について語っている従業員ハンドブック(Crispin Porter + Bogusky Employee Handbook )です。彼らは自社のことを、最高のアイデアを生み出す工場(factory)だと言い切っています。全編を通して感じることは、最高のアイデアを生み出すために全力を尽くすプロフェッショナリズム、そしてそれを具現化するチームワークの重要性です。日本語の「sensei」というメンター制度のようなものも導入しているようで、部門間のコミュニケーションの円滑化に力を注いでいます。アイデアこそが、他のエージェンシーと比較して当社の競争優位点であり、またそうした優れたアイデアこそが、結果的には当社のクライアントが競合他社と勝ち抜くための競争優位点にならなければならないと結んでいます。広告会社は、アナログ時代からデジタル時代に変わっても、究極的には、メディア枠を売る会社でも、テクノロジーを売る会社でも、ないと思います。アイデアを売る、私も同感です。

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2008年6月1日 23:27 |パーマリンク