財政再建

2010年7月9日

 前回、消費増税について書いた時、今年度の予算の中身を見てから、どうやったら国は借金を返せるだろうかと、つらつらと考えてみました。 財務省発表の今年3月末の国の借金は882兆円。国内総生産(名目GDP)は475兆円。経営的に言うと年間売上高の2倍の借金です。利益ではありません。売上高の、2倍です。それにも関らず、今年度も大幅赤字予算を組んでいます。もし自分が勤めている会社が、年間売り上げの2倍の借金を抱えていて、今年も大幅赤字予算を組んでいたら、どう思いますか? 先行き安心でしょうか? 

 それではどうやったら借金返済できるか? 今年度一般会計予算によると、税収等を含む歳入は48兆円の見込みですから、社会保障や、教育、公共投資といった、国家の活動を全て休止して、全額借金返済に回しても、18年かかります。もう少し現実的な(?)試算をすると、とりあえず借金を据え置きにしておいて、これ以上借金を増やさないことだけに注力するとしたら、支出を収入に合わせなければなりません。今年度の国の歳入予算は48兆円ですから、歳出予算を92兆円から48兆円に半減する必要があります。全ての支出を半減です。例えば、義務教育は9年から4.5年に、つまり小学校5年生の一学期で終了です。お巡りさんや救急車の数も半分、公共事業費も半分ですから、新設の高速道路はなくなり、既存の舗装道路も悪化していきます。耐用年数を越えて、今後老朽化が進む上下水道等のインフラへの対応も出来ないでしょう。我慢して、これだけやったとしても、残念ながら借金882兆円と金利は膨らんでいきます。

 こうした試算にどれほどの意味があるか分かりません。そして、国の予算には、今回議論した一般会計予算の他に、特別会計予算というのがあります。私の勉強が足りないせいかもしれませんが、この両方を連結する国の全体予算が非常に分かりにくい仕組みになっているようです。企業経営では連結決算が当たり前になって久しい中で、違和感を感じます。

 いずれにせよ確実に言えることは、国家財政を健全にするには、長期間にわたる国民全員のたゆまぬ我慢と努力が必要だということです。財政再建には、上記の通り、支出を極端に減らすか、それができないのであれば、収入を増やすことしかありません。収入を増やすには、増税か、大幅な経済成長による税収アップの、どちらかです。

 海外旅行をすると感じますが、日本の消費税にあたる税金は、欧米諸国では10数%から20%です。日本の財政状況を鑑みると、たとえ10%に上げても、抜本的な財政再建にならないでしょう。おそらく、所得税や法人税といった、その他の増税も必要となるでしょう。

 しかしながら、日本人は、消費税に関しては5%と大変低い水準を享受しているにもかかわらず、法人税に関しては海外諸国と比べると高い水準です。現在の資本主義のルールでは、企業は収益拡大により企業価値を継続的に上げていかなければなりません。このルールに則るためには、経営資源を世界最適にしていく必要があります。つまり、税制的に不利で、今後大きな成長が見込めない国から、より税制が有利で高度成長が期待できる国へ、経営資源をシフトしていくことになります。そうなると、国内就職率の低下、失業率の悪化につながります。とても経済成長にはつながりません。

 結論としては、ぼやぼやしていると、八方ふさがりになります。財政再建に向けて真剣に考え、行動する時間は、全く残されていないようです。私たちは、もっと現実を知らなければならない。そして改善に向けて、そして将来のために、行動しなければならない。そう強く思います。まずは、今週末の選挙からでしょうか? 

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2010年7月9日 21:48 |パーマリンク

消費税10%議論

2010年7月8日

 菅首相が表明した「消費税10%」について、昨今マスコミは大騒ぎです。 なぜ10%なのか? 何に使うための増税なのか? 参院選を控えたタイミングで不用心な発言だ。これまで消費税を争点にした選挙で、与党は大敗してきた、などなど。

 どれも一理ある論点です。しかし、われわれ日本人は、国家財政破綻に対する危機感が、どれほどあるのでしょうか? そもそも日本はギリシャとは状況が全く違う、という声が聞こえてきそうですが、本当でしょうか? 日本の公的債務残高は名目GDPの200%。米国やドイツの80%は言うまでもなく、先ごろ財政危機に陥ったギリシャの115%を大きく上回ります。そして、今年度の国の一般会計予算92兆円のうち、国債の発行額が44兆円と、借金がほぼ半分を占めます。

 国家財政と企業経営には違いがありますが、一般的な経営視点で考えると、年間売上高の2倍の借金があるにも関わらず、今年の出費も半分は借金で賄おうとしていることになります。しかも景気の動向次第では今年度の収入が減る可能性があり、それにも関らず子供手当等のばらまきを満額実施すると、出費が予算よりもさらに増え、借金をさらに積み増す可能性を秘めた予算です。まともな経営者であれば、眠れない日々が続きます。こんなことを続けている国に、未来永劫お金を貸し続ける人が、本当にいるのか? もし、いなくなってしまったら、破綻することになります。経営視点からだけの意見ですが、私はこのままの状況を進めるのであれば、日本の財政は確実に破綻すると思います。

 税制改革についても、事業仕訳についても、そうした危機感を前提に議論を進めるべきです。政治家を選ぶのも、政策を変えるのも、マスコミの論調を変えていくのも、他の誰でもなく、結局は我々一人ひとりの自覚と責任感にかかっているのですから。

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2010年7月8日 20:30 |パーマリンク

鳩山さんは、日本のアル・ゴアになれ!

2010年6月10日

http://alternaeditor.seesaa.net/article/151918113.html

 このタイトル、「オルタナ」編集長の森さんのブログでのコメントです。「これって、良いなあ。」と素直に思いました。今回の政権交代には、日本人として大きな期待をしています。今朝の新聞によると、出だしの支持率も高いようです。

 しかし一方、前政権の責任はどこに行ったのかと思います。辞任してしまえば、それで責任は全うしたのでしょうか? 国政は、辞任してしまえば済むほど、責任の軽いものなのでしょうか? 鳩山前首相に限らず、ここのところ立て続けの短期政権を見て、ずっと感じていたことです。

 そういった意味で、森さんのおっしゃる、「気候変動問題について、鳩山さんは初志貫徹すべきだ」との意見、気持がよかったです。

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2010年6月10日 12:49 |パーマリンク

肥満と飢餓

2010年6月8日

 日本では、数年前にメタボリック症候群が話題になりましたが、米国では子供の肥満が大きな社会問題になっており、ミッシェル大統領夫人も子供の肥満撲滅のための運動を推進しています。

 ニューヨークタイムズの記事によると、女性の肥満により、出産の危険度が増しているとのことです。アメリカでは、約五人に一人の妊婦が肥満だそうです。米国の肥満の基準は、例えば身長165cmで体重82kg以上を指すようで、我々が考える「太り気味」とは次元の違うレベルのようです。肥満妊婦から生まれた赤ちゃんの一カ月以内の死亡率は、通常の3倍だそうです。また死産の確立も、通常の2倍とのことです。帝王切開になる確率も、通常の3倍から4倍だそうで、これに関連した病院サイドの問題も深刻になってきているそうです。例えば、分娩のベットが壊れないように、従来よりも大きくて頑丈なものにしないといけないとか、超音波の機械を、より精度の高いものにしないといけないとか。それに伴い、医療費がますます高くなっていきます。肥満は、笑い事では済まされない、現代社会の重大な課題になってきています。

 一方、WFP(国連世界食糧計画)によると、なんと世界人口の7人一人は飢餓状態にあるそうです。どうしてこんなimbalanceが起きてしまうのでしょうか? 人類の食料は、現在多すぎるのでしょうか? 少なすぎるのでしょうか? どの文献で読んだか忘れましたが、現在の世界の食料供給量は、現在の世界人口を充分に満たす量だそうです。つまり、問題は分配方法にあります。一部では太りすぎるほど食べすぎていたり、無駄な食べ方をしていて、もう一方では十分な食料を手に入れることができません。

 小さな子供が食料にありつけず、栄養失調で亡くなってしまうことに、心痛めない人は、きっといないと思います。ではなぜこのようなimbalanceが起きているのか? しかも年を追うことに悪化して行っているのか? 世界がこれだけグローバル化して、運搬システムも発達している中で、必要な食料を地球上の必要な人たちに届けることは、技術的にそれほど難しいことではないと思います。おそらく、システムがそうなっていないのだと思います。

 以前、東京でも失業者が自宅で餓死した事件が報道されました。失業してしまったら、東京では本当に食ベ物にありつけないのか? 少なくとも、都心のホームレスの人たちの健康そうな表情を見る限り、そんなことはないように感じます。

 つまり、このimbalanceは、食料がないことが問題でも、届ける技術がないことが問題でもなく、我々人類が築き上げたシステムの問題であり、人類が作り上げた誤謬だと言えます。私は、人類が人為的に作り上げた問題は、我々人類が解決できると信じています。それでは、どう解決すべきか? まず視野を広く持つこと。そして、価値観を変えること。例えば、肥満国は、食べ物に走るのではなく、健康志向になること。そして飢餓国は、食い扶持を増やすために子供を無制限に増やすのではなく、子供の教育に力を入れること。私もまだまだ勉強中ですが、我々に解決できる重要な課題は、我々が解決すべきだと、強く思います。

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2010年6月8日 22:48 |パーマリンク

メキシコ湾原油流出事故から1ヶ月半が過ぎて

2010年6月5日

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 メキシコ湾沖の原油流出事故から、1月半が過ぎました。今回の事故は、21年前のアラスカ沖で起きたエクソンのタンカーの座礁事故(バルディーズ号原油流出事故)を上回り、米国史上最悪の人為的な要因による環境災害となるようです。4月20日海上採掘場の爆発事故では11名の職員が亡くなりました。それ以降、数多くの動植物が、原油まみれになり、死に絶えているようです。

 今回の事故の恐ろしい点は、まだ解決の糸口が見つかっていないということです。海底深くでの事故に対する対応は前例がなく、これまでのトライはすべて失敗に終わりました。残念ながら、原油流出はまだ当面続くようです。そして環境破壊を食い止める目的で海上に大量に撒かれている原油分散剤の副作用や安全性については、十分な検証はされていないようです。メキシコ湾は、今週からハリケーンシーズンに入り、流出した原油の一層の拡散が懸念されています。

 この恐ろしい現状から、2つのことを感じました。まず、リスク管理がどうしてなされていなかったのか、という点です。海底油田を掘削した場合、何らかの事故が発生した場合、海洋環境に甚大な影響を及ぼすことは、だれにでも容易に想定できると思います。それにもかかわらず、どうして対応策がないのでしょうか? BPは、自社の海底油田では永久に絶対に事故は起きないと想定してたのでしょうか? 今回の事故を契機に海底油田の開発についてはリスク管理が徹底的に強化されるでしょう。 しかし、これまで開発してしまった他の油田で、同様の事故が起こったら、同じように無策のまま、自然環境が壊滅的な被害を受けるのでしょうか? 

 以上の視点で、ほかのエネルギーを考えてみると、原子力発電はどうなっているのでしょうか? 原子力発電は、石油や石炭による発電よりも、CO2排出量が少なくクリーンな電力と言われています。しかも、コスト効率が良いそうで、今後のCO2削減の核となると言われています。ここで疑問が湧きます。そのコストには、将来の事故発生の際の費用がどれほど含まれているのでしょうか? 原子力関連の事故の場合、人類に直接及ぼす影響は、金額換算できない、取り返しのつかない規模と期間になる可能性もあるのではないでしょうか。リスク管理が本当にできているのか? この問いに、自信を持ってこたえられる関係者は、いないんじゃないかと思います。

 今後、我々がまずしなければならないことは、「今良ければいい」という発想を根底から捨て、長期視点で物事を検証していくことではないかと思います。

 もうひとつ感じたこと。NBCニュースによると、今回の1ヶ月半にわたる原油の甚大な流出量は、実は、米国一国が消費する原油の消費量の1時間分にも満たないとのことです。その程度の量が、これ程の被害を自然環境に与えてしまうとは、驚きです。そして、我々人類の驚くべきオイル依存生活に、改めて驚かされます。

 

投稿者: Reo Watanabe 日時: 2010年6月5日 22:26 |パーマリンク