第8回定時株主総会を終えて
昨日、当社第8回定時株主総会を開催し、その後の取締役会を経て、改めて当社代表取締役社長に選任されました。創業来ずっとですから、変り映えしませんが、改めてよろしくお願いします。さて、今回の株主総会の最も大きなトピックは、電通から得丸英俊氏が当社取締役COOとして就任しました。同氏は、インタラクティブ・マーケティング領域において、電通で最も造詣が深い人物の一人です。当社が今後、日本のインタラクティブ領域のイノベーターとして確固たる地位を築いていくために、またとない援軍が加わりました。併せて、よろしくお願いいたします。
今回の株主総会には、レイザーフィッシュを代表して、アジアパシフィック地区の社長であるリー・シェアマン氏も来日し、参加してくれました。アジア・パシフィック地区のレイザーフィッシュのネットワークは、現状、日本、中国、オーストラリアの三ヶ国ですが、今後シンガポール、インドへの進出、そして中国拠点の強化を進めていく予定であり、急速にネットワーク化が進みます。今回彼とは、アジア・パシフィック地区のネットワークの早急な拡大だけに止まらず、各国拠点が、各々の国で最強のインタラクティブ・エージェンシーとしての地位を確固たるものにすることが非常に重要である、という点で合意しました。すでにオーストラリア拠点であるAmnesia Razorfishは、3年連続で同国Agency of the Year (Digital Agency of the Yearではありません。) に輝いている、オーストラリア最強のエージェンシーです。
今回の景気後退と、クライアントの広告販促予算の大幅な見直しにより、広告業界で生き残れるのは、真の価値が提供できるエージェンシーのみとなるでしょう。当社は、これを100年に一度の好機とすべく、研鑚に努めてまいります。引き続き、ご支援ご鞭撻、よろしくお願いいたします。
インターネット動画のTV活用について
近頃テレビで、インターネット動画の紹介が増えてきました。こんな面白い映像がありますといったものから、イランの選挙結果に対する市民の抗議行動に関する報道に至っては、ほぼインターネット動画に頼っているような状況です。人々が世界のどこでもYouTubeやtwitterを活用して、情報発信
することが当たり前になった証しだとも言えます。当然のことながら、検閲されていない映像の中には、大変ショッキングな映像もあります。現実を理解する上で、重要な情報ツールであるということは事実ですが、人によっては、明らかに享受できるレベルを超えている動画もあると思います。
テレビがインターネット動画を活用することに異論はありませんが、テレビには、インターネットが持っていない、しっかりとした基準に基づいて検閲され、情報の精度が高いものを報道するという、社会的責任があります。それを失うことのないようにしてもらいたいと、願っています。そういった意味では、インターネット動画の過度の活用は、諸刃になりえるのではと思います。
下記動画は、CNNのサイトの当たり障りのないものを選びました。イランに関する報道の状況について確認したい方は、YouTube等で、tehran, election, suppression等のワードで実際に検索してみることをお勧めします。
Mad Avenue Blues
株価も若干過熱気味とはいえ、かなり回復してきました。日本経済もようやく底を打ちつつあるように感じます。あとは、国内消費がどれだけ戻ってくるか。広告業界は引き続き、かなり厳しいですが、経営者として、少しでも明るい兆しが見えてきたことを嬉しく感じます。
そんな中で、今回はYouTubeの動画をご紹介します。「アメリカン・パイ」の替え歌をベースに、広告界をノスタルジーとアイロニーで語るショートムービーです。本ブログでも何度か紹介しましたが、米国で昨年「Mad Men」というマジソンアベニューが光り輝いていた頃の広告業界を扱ったTVドラマが大ヒットしました。このブームにも若干引っ掛けているように感じます。
昨日の日経新聞の夕刊には、米議会や地方政府で、経営が立ち行かなくなった新聞社の救済論が浮上しているそうです。支援策としては、税制優遇策導入やNPOへの移行促進の法案導入などを検討中だそうです。広告業界の長い私にとって、ほろ苦くもあり、寂しくもあり、、、。
そこまで来つつある景気回復期に向けて、新しい広告界を作り出せるか? 当社にとっても、そして、どの広告会社にとっても、大切な挑戦です。アドマンに、ノスタルジーは、やっぱり似合わないので。
メロディーロード、今回は、クリオでゴールドを受賞
ダンロップのメロディーロードキャンペーンが、アドフェスト、東京インタラクティブアドアワードに続き、今回は米国ラスベガスで開催されたクリオ国際広告賞のイノベイティブ部門で、金賞を受賞しました。快進撃、続いています。嬉しいことです。
クリオは、TV視聴率調査や、BillboardやAdWeek等出版で知られる、情報メディア企業であるニールセン社が主催しており、今回で50回目となる大変歴史のある国際広告賞です。
今年の他の受賞作品で、私が興味深く感じたのは、バーガーキングの「Whopper Sacrifice」です。手掛けたのは、クリスピン・ポーター&ボガスキー。相変わらず、勢いあるようです。Agency of the Yearも、受賞していました。このキャンペーンは、Facebookで、友達を10人削除すると、ハンバーガーの無料クーポンがもらえるアプリケーションを、ウェブ配信するという、構造的には非常にシンプルなものです。昨今の消費者のFacebook偏重傾向を、ある意味で逆手に取ったキャンペーンといえます。案の定、YouTube等、各種メディアでもかなり話題になったようです。

また、今年から広告界に貢献した人に贈る名誉賞を設定したようで、Mattew Weinerという放送作家が、受賞していました。彼は昨年「Mad Men」というテレビドラマをプロデュースして、大ヒットさせました。Mad Menは、「狂人たち」の意味ではなく、「マディソンアベニューの広告マンたち」という意味です。舞台は、広告華やかりし頃の1960年代のニューヨーク・マンハッタンだそうです。彼は、先月のレイザーフィッシュのクライアントサミットでも、キーノートスピーカーとして登壇していました。穏やかな話しぶりが印象的でした。ぜひ機会を見つけて、見てみたいものです。

良い広告とは何か
今回は、最近読んだ書籍「良い広告とは何か」を、ご紹介します。著者の百瀬伸夫氏は、電通の元副社長です。私は、当社を創業する前、電通国際本部に在籍していた際に、2年間ほどアシスタントとしてお仕えしたことがあります。
当時電通は、米国Leo Burnettへの資本参加、そしてDarcy Macius Benton Bowlesとの合併、日本ではBeacon Communicationsの設立と、これまでのYoung&Rubicamとのパートナーシップによる国際展開を超えて、より踏み込んだ形である資本参加による国際展開を推進している時期でした。百瀬氏は、そうした電通の本格的な国際展開を推進した最大の功労者です。何事にも世界一流を求め続け、実行していく姿を、身近で拝見し、電通のトップエグゼクティブのスケールの大きさ、プロデュース力の凄さを、痛感しました。本書では、そうした真剣な取り組み・経験を基に、本当に良い広告とは何なのか、について赤裸々に語られています。私には、一言ひとことが、著者が直接語りかけてくれているように感じました。
著者は、良い広告とは、クリエーティブの良い悪いではなく、効率のいい広告でもなく、「効果のある広告」であると定義しています。「効果のある広告」とは、優れた広告キャンペーンを通して訴求対象にメッセージが理解され、好感をもたれることによって売上増に結びつき、利益の拡大に貢献する広告だとのこと。正しく同感です。そのために、優れたクリエーティブが必要であり、正確な効率測定が必要になります。
一方、広告の効果を測定することは、二つの問題点がネックとなり、なかなか難しいとも指摘しています。一つ目の問題点は、広告特有の時間性の問題です。つまり、広告実施直後に直ちに売上に寄与する効果と、数年、数十年にわたってブランドを大きく育て、それにより中長期的に売上拡大に寄与する効果の二つがあるからです。もう一つの問題点は、マーケティングミックスの他の要素、つまり商品戦略・パッケージ戦略・価格戦略・流通戦略と、完全に切り離して、広告だけの売上貢献を測定することが難しいということです。広告主にとって、直近の売上増に結びつく広告費は経費であり、五年後・十年後のブランド育成に貢献する広告活動は投資です。広告はトップの仕事、と言われる所以です。
本書でも詳細に紹介されますが、世界的なブランド力を誇るネスレは、ブランド価値の管理を徹底しています。各国のトップが深く関わるのは勿論のこと、スイス本社のトップマネジメントも、定期的に世界各国の広告活動、そして広告代理店の能力を、厳しく監査しています。私も、電通の営業時代に、十年程ネスレのアカウントを担当する機会がありました。その時のクライアントとのグローバルベースでの緊張感は、私の広告人の基礎になっています。
本書のあとがきで著者は、効果のある広告について、次のように書いています。
2008年に四人の日本人がノーベル賞を受賞した。各人のコメントを聞いていて、大切なことが含まれていることに気づかされた。
一つ目は、子供の成長のためには、山や海に親しみ、自然の美しさを感じとる心を育てること。二つ目は、長い研究生活のなかで、優れた指導者や仲間との対話を通じて学ぶことの大事さ。三つ目は、忍耐力。
「効果のある広告」を考えるに際して、ノーベル賞受賞者の言葉は、極めて適切なアドバイスである。消費者についての鋭い洞察力、深く考える力、優れた仲間との対話、そして忍耐力。、、、
軽薄なトレンドではなく、広告の素晴らしさ・奥深さの本質を、そして一流の広告人として生きることの真髄を、学びたい方に、お薦めします。

